“さらなる教育・研究環境の向上を目指して”

武蔵野音楽大学
江古田新キャンパスプロジェクト

2011年、さらなる教育・研究環境の向上を目指してスタートした「武蔵野音楽学園江古田新キャンパスプロジェクト」。ベートーヴェンホールのみを保存・改修し、それ以外の江古田キャンパスのすべての校舎を建て替えるという一大プロジェクトだけに、学園と設計・施工会社である株式会社 大林組をまじえての数限りない綿密な会議、打ち合わせが、5年半の間行われました。2015年4月1日、60年あまりお世話になった旧校舎の解体工事が始まり、同年7月21日には新キャンパスの起工式を挙行。

住宅街という立地、実に多様な用途の校舎群、非常に高い建築密度といったハードルの多い超難関プロジェクトにも関わらず工事は順調に進み、解体開始から約2年経過した2017年1月31日に竣工。2月13日に無事、竣工式が執り行われました。従来、江古田と入間の両キャンパスで行っていた武蔵野の教育・研究が、今後はこの新キャンパスに集結されます。音楽の可能性を無限に広げる、魅力に満ちた江古田新キャンパスの全貌をご覧ください。


設計コンセプト

伝統と先進が響き合う未来へ。

本学では、これまで江古田(東京都)と入間(埼玉県)の両キャンパスで教育・研究を行ってきましたが、2017年度よりさらなる教育・研究環境の向上を目指して、国内初の本格的コンサートホール「ベートーヴェンホール」以外のキャンパス内すべての校舎を建て替えた「江古田新キャンパス」に、大学の教育・研究活動の場を統合しました。旧キャンパスの記憶をつなぐ存在として、武蔵野音楽大学の伝統の象徴であるベートーヴェンホールを保存・改修したうえで、21 世紀を生き続ける全く新しいャンパスを創造する― 本学は「〈和〉のこころ」を建学の精神としていますが、これはまさに、2019 年度に創立90 周年を迎えるにあたり掲げた本学のスローガン「伝統と先進の和(ハーモニー)」の具象化です。

建学の精神「〈和〉のこころ」の浸透により、本学は学生と教職員の距離が近い、という多くの方々の声がきこえます。友人・教職員との交わりを通した「人間形成」の場として温かい雰囲気をもち、「音楽芸術の研鑽」をするうえで機能的に洗練・整備された、本学の教育方針とも合致する魅力ある最新のキャンパスが、いままさに始動しました。

※設計施工は、東京スカイツリーを建設した株式会社大林組が行いました。
※2017年度以降も、入間キャンパスは一部の特殊な授業や演奏会等で使用します。

武蔵野音楽大学 副学長・企画部長・教授 福井直昭

大学キャンパスの枠を超えた「音楽の街」に
6つのコンサートホール等による総合的な演奏環境が実現

2017年、通常の大学キャンパスの枠を超えた「音楽の街」とも呼べる、画期的な都市型キャンパスが誕生しました。敷地外周部は、多種多様な植物によってキャンパスを豊かな緑で包み込んでおり、優れた機能性とスタイリッシュなデザインを併せ持つキャンパス内には、伝統的な姿や響きはそのままに保存・改修された日本初の本格的コンサートホール「ベートーヴェンホール」、最新の音響設計による「ブラームスホール」とサロン風リサイタルホール「モーツァルトホール」、さらには計3つの各リハーサルホール(オーケストラ・ウィンドアンサンブル・大合唱用)や、多くの最適な音響のレッスン室、練習室、合奏室を完備し、まさに総合的な演奏環境が実現しています。また図書館・楽器ミュージアムなどの知的好奇心を刺激する施設や、キャンパス生活のアメニティを向上させるさまざまな設備・空間は、その豊かな機能性と快適性、洗練されたデザイン、細やかな配慮とあいまって、学生のアクティビティを活性化させています。キャンパス内すべてのデザインには「わけ」があり、そこから創出された空間には「感動」があります。

福井直昭
武蔵野音楽大学 副学長・図書館楽器博物館長・教授(ピアノ)


株式会社大林組 執行役員・設計本部長 山本朋生

リストプラザによってかたちづくる音楽の街

地下1 階から地上につながる中庭型広場( リストプラザ)を中心にキャンパスを構成します。住宅地域の立地のなかで、音楽大学としての多様な諸機能を“外部に閉じつつ中庭に開放的に開き” ます。中庭を囲む建築群の表情の変化、樹木ごしに交わされる立体的な視線、ガラス張りのエントランスホールを介してつながる周囲の街並みとのシークエンス…武蔵野音大生たちの日常のシーンをイメージしながら検討を重ね、“音楽の街”のような空間の豊かさを目指しました。

山本朋生
株式会社大林組 執行役員・設計本部長

江古田新キャンパス 外観

学生の感性に訴え、
それぞれの豊かな個性を感じる
外観デザイン

南東外観
学生の感性に訴える、
それぞれの豊かな個性を感じる外観

江古田駅からアプローチすると、周辺環境に配慮し建物をセットバックして生まれた街かど広場が出迎えます。外装は学生の感性に訴えかけるよう、無駄な装飾を避け素材感を大事にしたコンクリートやタイルで構成しています。音楽大学に求められる多様な性能(光、遮音、響き)を直截的に反映した開口部デザインにより、統一感がありながらもそれぞれの豊かな個性を感じる、まさに武蔵野音楽大学らしい外観デザインとなっています。

パノラマ写真でご紹介

南西外観
旧キャンパスの記憶をつなぐ
ベートーヴェンホールと桜

旧キャンパスの記憶をつなぐ存在として、日本最古のコンサートホールであるベートーヴェンホールを保存、修復します。隣接する南西角に建つ南棟は事務室や教室等からなる大学の本部機能を有する建物で、最上階には展望ラウンジ"Bis"があります。道路に沿って立つ桜の古木は、大学と地域をつなぐシンボルとして保存しました。

パノラマ写真でご紹介

江古田新キャンパス 鳥瞰図

明快なゾーニングにより
生まれる音楽空間

鳥瞰図

新たなキャンパスは、江古田駅、新桜台駅から徒歩4分という好立地にありながら、周辺を閑静な住宅街に囲まれた環境を考慮して、外周部には開放された歩道や緑、ベンチ等を整備することで芸術の街 江古田と共生しながら、キャンパスの賑わいの場は内側に集約した中庭型の構成となっています。中庭を取り囲む建物は、それぞれ教室、図書館、レッスン、練習室等機能毎に分化することで特徴的な外観をまとっています。
内部構成が自然と外観デザインに反映されつつ、多様な個性がひとつのかたちに融合していく――すなわちキャンパスに個と全体の調和(ハーモニー=「和」)をもたらすことになります。この中庭を中心としたエリアから奥へ行くとベートーヴェンホール、ブラームスホールというキャンパスの象徴となる大中のコンサートホールのほか、リサイタルホール「モーツァルトホール」やオーケストラ、ウィンドアンサンブル、大合唱用の各種リハーサルホール群がある明快なゾーニングがなされています。